こんにちは。今回は障害年金の不支給決定は早いかどうかについて解説していきます。
結論としては、障害年金の不支給決定は早いということはないです。
障害年金とは
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事が制限されるようになった人を支援するための制度です。二種類の障害年金があります。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」です。
この障害年金を受けるためには、保険料の納付状況や障害の程度など特定の条件を満たす必要があります。また、障害基礎年金または障害厚生年金を受ける方は、国民年金保険料が免除されます。
参考:日本年金機構
障害基礎年金:
国民年金に加入している人が対象です。
病気やけがが初めて診断された日(初診日)に障害の程度が法律で定められた基準(1級または2級)を満たしている場合支給されます。
支給を受けるためには、初診日の前日までに一定の期間保険料を納付しているか、免除を受けている必要があります。
参考:日本年金機構
障害厚生年金:
厚生年金に加入している人が対象です。
障害基礎年金の条件に加えて、厚生年金の特定の障害等級(1級または2級)に該当する場合、基礎年金に加えて厚生年金が支給されます。
また、障害が比較的軽い(3級)場合は、障害手当金(一時金)の支給もあります。
参考:日本年金機構
申請から結果が出るまでの期間
審査の結果は通常、受付から3ヵ月以内に出されるようにされています。
でも、提出された診断書の内容によっては、この期間が前後することがあります。
特に、下記の場合には、結果が比較的早く出ることが多いです。
- 人工透析やペースメーカーなどの明確な基準が設定されている疾患
- 初診日が明確である
障害年金の審査は現在、日本年金機構の障害年金センターで一元的に行われています。
審査中には、診断書の内容について主治医や申請者に確認が必要な場合があります。そのため結果が出るまでの時間が延びることもあります。審査結果は、申請者の住所に文書で通知されます。支給が決定された場合は「年金証書」が送付されます。また不支給が決定された場合は「不支給決定通知書」が送付されます。
なお、初診日が共済年金に加入していた場合は、障害共済年金を請求することになります。その手続きや時間は各共済組合によって異なります。
障害年金の不支給決定は早いのか
不支給でも結果は早く出るわけではありません。
障害厚生年金の審査結果を待つ期間は、通常、申請から約3か月半です。不支給の場合でも結果が特別早く出るわけではありません。時には6か月以上かかることもあります。
この年金の申請において、障害の状態や提出する書類が審査に大きく影響するため、申請書類をしっかりと準備することが重要です。また、審査で不支給となる場合、再審査を申し立てることができますが、成功率は低いと言われています。
以上のように、障害年金の申請は提出する書類や手続きが必要となります。必要書類の準備は、専門的な知識がないと適切なものを揃えることは難しいでしょう。適切な書類を始めの申請から行うためにも専門知識を持つ社会保険労務士に依頼したほうが懸命です。社労士に依頼することで、申請書類の準備や手続きがきちんと行われ、申請の成功率を高めることができます。
不支給になる理由
障害年金申請が不支給になる主な理由は以下の通りです。
これらの理由で障害年金が不支給になることを避けるためには、診断書の内容が障害年金に適していることを確認しましょう。必要に応じて社会保険労務士などの専門家のサポートを受けることが重要です。
障害の程度が基準に達していない
日本年金機構が定める「障害認定基準」を満たしていない場合には年金は支給されません。
提出された診断書による障害の程度が、これらの基準に合致していないと不支給の判断が下されます。
医師への症状報告が不十分
患者が医師に対して実際の症状を軽く伝えることがあるため、診断書が実際の健康状態を正確に反映していない場合があります。
診断書や申請書類の不備
日常生活や就労状況に関する情報が医師に正確に伝わっておらず、診断書が実際の障害状態を正確に表していないことがあります。
申請者がこれらの書類を医師に任せっきりにすると、診断書の内容に不備がでる可能性があるのでしっかりと確認しましょう。
ソーシャルワーカーやケースワーカーの不足したサポート
ソーシャルワーカーやケースワーカーが障害年金の手続きに必要な知識を十分に持っていない場合には、申請書類が障害の実態を正確に反映していないことがあります。
不支給になる確率
古いデータですが、障害基礎年金について、平成 22 年度~平成 24 年度で不支給になった確率は12.5%です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000075359.pdf
障害厚生年金についてはデータがないようです。残念ですね。
障害年金が不支給になった場合はどうしたらいいのか。
障害年金が不支給になった場合、以下の対処法があります。
どちらの方法を選択するかは、不支給の理由と個々の状況によって異なります。
不服申し立てと再申請ができる場合には、不服申立ては手続きが複雑で結果が出るまで時間がかかることが多いので、再申請の方を選んだ方がいい場合があります。
不服申し立て(審査請求)の手続き
不支給の通知が届いた場合、地方厚生局にある社会保険審査官へ不服申し立てをすることができます。これは決定通知を受け取った翌日から3ヵ月以内にしないといけません。不服申し立ての手続きは、年金事務所で必要な書類を受け取り、所轄の厚生局に郵送して行います。
この申し立ては、1回目は所轄の厚生局、2回目は厚生労働省の社会保険審査会で行われます。
しかし、支給に変更される確率は比較的低いとされています。具体的には、1回目の申し立てで約10%、2回目で約20%の支給決定率です。
こちらの場合には、当初申請した時点で受給権は発生することになります。
ご自身で当初の申請をした場合、審査請求を受ける社労士は少ないようですね。必要書類の準備に手間がかかるうえに、申請が通る可能性が少ないのが理由です。
再申請
不支給の原因が解消された場合、または新たな証拠や診断が得られた場合には、改めて障害年金の申請を行うことができます。
再申請の際は、前回の申請で提出した書類も詳細にチェックされます。したがって、新たに提出する診断書や資料が前回の内容とどう異なるかが重要です。特に、障害の状態が重くなったり、病状が進行していることを明確に示す必要があります。
こちらの場合には、再申請した時点で受給権は発生することになるので注意が必要です。
障害年金のよくある質問
障害者手帳がなくても障害年金は申請できますか?
もちろん障害者手帳がなくても障害年金を申請することができます。
この手帳と障害年金が全く別の制度だからですね。障害の種類に関わらず手帳を持たずに年金を受け取っている方もいます。
障害者手帳は各自治体が、障害年金は日本年金機構が審査を行います。そのため、手帳と年金の障害等級が一致しないことがよくあります。例えば、人工透析を受けている方は年金で2級、手帳では1級とされることがあります。
精神障害の場合、診断書や認定基準は年金と手帳で似ています。しかし、時間が経つにつれて状態が変わるため、手帳の更新時と異なる等級が付くこともあります。実際に、精神障害者手帳3級を持つ方が、障害年金では2級と評価される例もあります。
このように、障害者手帳の有無や等級は障害年金申請においてそれほど重要ではありません。重要なのは、現在の障害の状態を正確に把握し、それに基づいて年金を申請することです。
働いていても障害年金は受けられますか?
障害年金を受け取りながら働くことは可能です。
障害年金の受給資格は働いているかどうかではありません。日常生活への影響や障害の程度に基づいて判定します。例えば、下記の状況であれば、障害年金の申請を検討できます。
- フルタイムでの勤務が困難
- パートタイムや障害者枠での雇用
- 職場でのサポートがある状況
特に、日常生活に重大な制限がある場合には障害基礎年金が支給されることが多いです。働く時間が限定される場合も障害厚生年金の支給が考えられます。また、下記の場合には働いていても障害年金が支給されることがあります。
- 人工透析
- ペースメーカーの装着
- 在宅酸素療法を行っている
障害年金は働く意欲を制限するものではありません。障害を持ちながらも社会的に活動しやすくするためのサポートを提供する制度です。したがって、働いているからといって障害年金が受けられないことはないです。個々の状況に応じた適切な支援を受けることができます。
障害年金の振込はいつ行われますか?
障害年金の振込は通常、偶数月の15日に行われ、その際には前2ヵ月分の年金が振り込まれます。
たとえば、4月15日に振り込まれる年金は2月と3月分に相当します。15日が銀行の休業日に当たる場合は、直前の営業日に振り込まれます。
ただし、年金機構が支給を決定したタイミングによって、初回のみ奇数月に振込が行われることがあります。
例えば、4月に障害年金の申請をし7月に承認されたとします。最初の振込は8月15日に行われます。その際には5月から7月までの3ヵ月分が支給されます。その次は10月15日に8月と9月分が振り込まれます。その後は通常のスケジュールに戻ります。
障害年金を受給する際の注意点を教えてください
障害年金を受給する場合、以下の状況で注意が必要です。
児扶養手当を受給中の場合
障害年金の受給が始まると、児童扶養手当の支給が停止されるか、支給額が調整される可能性があります。
傷病手当金受給中の場合
同じ疾病で障害厚生年金を請求する場合、障害厚生年金の支給が優先されます。
傷病手当金が障害厚生年金より多い場合は、差額のみ傷病手当金として支給されます。
障害基礎年金を受けている場合は、傷病手当金との併給が可能です。
障害年金の額が収入にカウントされる場合
公営住宅の申請や家族の健康保険扶養に入る際には、障害年金が収入として考慮されるため、影響が出ることがあります。
まとめ(障害年金の不支給決定は早いか)
今回は障害年金の不支給決定は早いかどうかという論点で解説しました。
結論としては、障害年金の不支給決定は早いということがないです。
今回もお読みいただきましてありがとうございました。